さらに続く海外企業の買収 その意図は?
(ニュースの概要)
塩野義製薬は一日、米ナスダック上場の中堅製薬会社、サイエル・ファーマを買収すると発表した。総額で十四億二千四百万ドル(約千五百億円)を投じ、完全子会社にする。全米に約八百人の営業員を持つサイエルを傘下に収め、世界最大の医薬品市場である米国での販売体制を強化する。
オンワードホールディングスは一日、ドイツの高級衣料品・雑貨ブランド「ジルサンダー」を買収すると発表した。ジルサンダーの事業会社を傘下に持つバイオリンエスエーアールエル社(ルクセンブルク)の全株式を一億六千七百万ユーロ(約二百六十四億円)で十月上旬に取得する。有名ブランドの取り込みで、海外事業を強化する。
日本のアパレル会社の海外ブランド買収では、レナウンの英アクアスキュータム社の買収額(約二百億円)を抜き、過去最大規模となる。
2008/09/02 日本経済新聞 朝刊 11面
(解説)
先日のキリン、リコーに引き続き、日系企業が海外企業(アメリカ、ドイツ)を買収するニュースである。塩野義のケースではアメリカのナスダック上場企業の買収ということもあり、投資金額は1500億円、かたやジルサンダーは高級有名ブランドではあるものの、一桁違う260億円の投資金額である。
(疑問1)
買収金額ってどうやってきまるの?
(ニュースはこう読め)
日本における会社の知名度からいえば、消費財を販売しているジルサンダーのほうが高いだろう。高級ブランドとして名前は世界的に認知されている。かたや、サイエルファーマを日本で知っている人はどれだけいるだろうか。少なくとも私は全く知らなかった。要するに知名度と買収金額は関係ない。
非買収会社が上場している場合には、少なくとも買収時点における市場株価が基準となる。一般的には過去の株価の平均値にどれだけ上乗せして買収するかという話だ。塩野義製薬の買収にあたっては、このプレミアムが57%になっている。
一方オンワードのケースではジルサンダーの株主は投資ファンドである。このようなケースにおいては市場株価が存在しないために、結局は相対での交渉次第だ。投資ファンドには目標としている投資収益率があるので、それを上回っていれば基本的に売却する。オンワードとしてはその買取価格と、今後の収益を天秤にかけて、買収の判断を下す。
それにしても、製薬会社と比べるとジルサンダーの価格はとても安く見える。これはとりもなおさず、その収益性の違いである。つまり、製薬会社の利益が大きいということだ。アパレルに関していえば、高級ブランドといえども利益率は思いのほか小さいのだなあということが実感できる今日の記事である。


コメント