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2008年9月

2008年9月15日 (月)

増えるMBO その後

(ニュースの概要)
MBO(経営陣が参加する買収)で株式を非公開にした企業の再建が遅れている。MBOは再上場して投下資金を回収するのが一般的だが、七割近くが再上場の具体的な計画を持っていないことが分かった。事業環境の悪化で業績が思うように回復しないケースが増えており、再上場そのものを断念したところも多い。MBOによる企業再建モデルは変質を迫られているようだ。
2008/09/05, 日本経済新聞 朝刊, 3ページ, 有, 1173文字 

(解説)
株価の低迷によりMBOを検討する企業は多い。しかしながら、MBO後に事業を再編し、再上場というシナリオどおりにはなかなかいかないようだ。事業の再編はMBOするかしないかには影響しない。MBOによって、例えば経営陣が変われば、あらたな戦略に基づいて事業価値が上がる可能性はある。あるいは、MBOに協力したファンドから経営のノウハウや、戦略作成のアドバイスを受け、それによって会社が立ち直ることはありえる。これでうまくいったケースはカーライルが出資したキトーだ。
そうでなければ、MBOしたからといって、簡単に業績があがるはずもない。MBO後にどのように会社の価値を上げるのかという戦略が描けなければ絵に描いたもちで終わってしまう。

(疑問1)
よいMBOとは何か?

(ニュースはこう読め)
個人的には、上場企業を非上場化させるMBOには積極的に賛同できない。再上場を目指すという時点で、なんとなく自己矛盾を感じてしまうからだ。この記事を見ても結果としてあまりうまくいかないようだ。
私が考えるよいMBOとは、例えば、親会社から独立を目指す子会社の経営陣が取るMBOだ。これは、親会社が何らかの事情で子会社を他社に売却しようと考えているとする。子会社の経営陣としては、まったく新規の親会社の元で経営をすることを求められる。うまく戦略が合えばよいが、買収した新しい親会社と組むデメリットもありえる。そうであれば、自らが自社の株式を購入することによって、独立する、さらには新規上場を目指す、という気概のある経営者が実施するMBOであれば、これは良いMBOといえる。
今の親会社の元ではさまざまな制約があるが、独立することにより経営の自由度が上がり、さらにはモチベーションも上がる。このようなMBOであれば、日本の経済の発展にも繋がるし、個人的にも応援したくなるMBOである。

2008年9月 3日 (水)

さらに続く海外企業の買収 その意図は?

(ニュースの概要)
塩野義製薬は一日、米ナスダック上場の中堅製薬会社、サイエル・ファーマを買収すると発表した。総額で十四億二千四百万ドル(約千五百億円)を投じ、完全子会社にする。全米に約八百人の営業員を持つサイエルを傘下に収め、世界最大の医薬品市場である米国での販売体制を強化する。

オンワードホールディングスは一日、ドイツの高級衣料品・雑貨ブランド「ジルサンダー」を買収すると発表した。ジルサンダーの事業会社を傘下に持つバイオリンエスエーアールエル社(ルクセンブルク)の全株式を一億六千七百万ユーロ(約二百六十四億円)で十月上旬に取得する。有名ブランドの取り込みで、海外事業を強化する。
 日本のアパレル会社の海外ブランド買収では、レナウンの英アクアスキュータム社の買収額(約二百億円)を抜き、過去最大規模となる。

2008/09/02 日本経済新聞 朝刊 11面

(解説)
先日のキリン、リコーに引き続き、日系企業が海外企業(アメリカ、ドイツ)を買収するニュースである。塩野義のケースではアメリカのナスダック上場企業の買収ということもあり、投資金額は1500億円、かたやジルサンダーは高級有名ブランドではあるものの、一桁違う260億円の投資金額である。

(疑問1)
買収金額ってどうやってきまるの?

(ニュースはこう読め)
日本における会社の知名度からいえば、消費財を販売しているジルサンダーのほうが高いだろう。高級ブランドとして名前は世界的に認知されている。かたや、サイエルファーマを日本で知っている人はどれだけいるだろうか。少なくとも私は全く知らなかった。要するに知名度と買収金額は関係ない。

非買収会社が上場している場合には、少なくとも買収時点における市場株価が基準となる。一般的には過去の株価の平均値にどれだけ上乗せして買収するかという話だ。塩野義製薬の買収にあたっては、このプレミアムが57%になっている。

一方オンワードのケースではジルサンダーの株主は投資ファンドである。このようなケースにおいては市場株価が存在しないために、結局は相対での交渉次第だ。投資ファンドには目標としている投資収益率があるので、それを上回っていれば基本的に売却する。オンワードとしてはその買取価格と、今後の収益を天秤にかけて、買収の判断を下す。

それにしても、製薬会社と比べるとジルサンダーの価格はとても安く見える。これはとりもなおさず、その収益性の違いである。つまり、製薬会社の利益が大きいということだ。アパレルに関していえば、高級ブランドといえども利益率は思いのほか小さいのだなあということが実感できる今日の記事である。

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