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2008年8月

2008年8月31日 (日)

続く海外企業の買収 リコーは販社を押さえて世界シェアトップを狙う

(ニュースの概要)
リコーは二十七日、米情報機器販売大手のアイコンオフィスソリューションズ(ペンシルベニア州)を買収すると発表した。買収額は十六億千七百万ドル(千七百二十一億円)。複写機など事務機器の国内市場が伸び悩むなか、メーカー各社は欧米の販売網拡充を急いでいる。リコーの複写機の世界シェアはキヤノンに次ぐ二位。同社にとって過去最大の買収資金を投じて販路を広げ首位獲得を目指す。日本企業が成長を求め海外企業を傘下に収める大型買収が加速している。

2008/08/28 日本経済新聞 朝刊 9面

(解説)
先日のキリンに引き続き、日系企業が海外企業(アメリカの上場企業)を買収するニュースである。1700億円といえば大金であるが、これくらいのニュースでは日経の一面にはもはやなりえないのであろうか。アメリカの上場企業を買収するということでアメリカ時間の8月27日の朝、プレスリリースが流された。その意味では日本時間の28日の朝刊では、既にニュースバリューとしては低いということも原因かもしれない。
日本の場合、プレスリリースの発表はその日の取引が終わった夕方に公表されることが多いような気がするが、アメリカの場合は、その日の取引が始まる直前の朝、発表することが多いのだろうか。気になるところではある。

日系企業による海外企業の買収は確実に一般的になりつつある。企業が買収に慣れてきたということもあるだろうし、成熟市場においては新規に事業を立ち上げることが事実上難しいという事情もあるだろう。この買収は、メーカーが販売会社を買収するという点で非常に興味深い。川上(原材料)から川下(消費者)までの全てのビジネスフローを眺め、その中でどこを押さえれば競合に勝てるのかを考えるとこの買収の事情が見えてくる。

たとえば、製鉄会社が鉄鋼商社を買収するという話は聞かない。むしろ、資源供給元である鉄鉱石企業の買収に乗り出している。リコーは反対に川下の販売会社を押さえることによって、マーケットシェアをあげる戦略である。

(疑問1)
原料供給会社と買収するケースと販売会社を買収するケースの違いは何?

(ニュースはこう読め)
利益の源泉がどこにあるのかを冷静に見極める必要がある。製鉄業の場合には世界的な資源高が影響しており、また、その規模の違いから、力関係が逆転し、製鉄会社に価格交渉力がなくなってしまった。つまり、仕入先からこの価格で買わなければ他社に売るといわれた場合、代替仕入先が確保できなければ、その価格で買わざるを得ないという状況が生まれている。(そういう意味では、原材料の値上げに苦しむ食品会社でも状況は同じである。しかし農産物の場合には鉱工業製品と違って農家を買収するということにはならないと思うが。)

逆にリコーのケースでは、販売を押さえたものが勝つという構造になっている。つまり直接消費者に販売できなければ、代理店を通じて販売することになり、代理店を押さえる、販売力を得た会社がシェアを取るという構図になる。消費者が指名買いをするのでなければ、代理店にそろえてある商品、代理店が勧める商品を買う傾向にあり、ここがシェアを拡大するためのポイントとなる。

この場合、商品に代替性があり、スイッチングコストがかからないことが前提となる。つまり、ある会社が複写機をキャノンからリコーに変えたときに、何らかの不都合が生じると、商品の入れ替えは進まない。不都合とは、たとえばメンテナンスコストが大幅に上昇するとか、修理を依頼したときにキャノンのほうが早く対応するとか、機械の使い方が全く違うために、入れ替えることにより新たに使い方をマスターしなければならないとか、そういうことが起こるのかどうかである。起こるのであれば、すぐに入れ替えはできないだろう。新聞報道によると、アイコン社は取り扱い製品の6割がキャノン、3割がリコーである。そして専務のコメントによれば、入れ替えには相当な労力がいるそうであり、何らかのスイッチングコストがかかると考えてよいだろう。

うまく短期間で入れ替えが進めば、リコーのシェアがのぞめる。報道直後のリコーとキャノンの株価を見ると、市場ではリコーの戦略が期待できると評価している。(リコーの株価は3%上がり、キャノンは5%下がった)

また、代理店販売の代わりに直販を増やすという選択肢もあるが、直販を増やすためのコスト増を吸収できないと判断されれば、代理店の買収が最適解となる。

(疑問2)
アメリカの販売会社(アイコン)にとってのメリットは何?

(ニュースはこう読め)
さて、アイコン社の経営者の立場からこの買収を見てみよう。(なお、M&Aは敵対的でない限り双方の合意で進められる。新聞報道では敵対的買収が大きく報じられるが、ほとんどのM&Aは友好的な交渉で進むのである。)
アイコン社はアメリカで上場している情報機器販売の大手企業である。
日経新聞にはアイコン社のコメントは出ていない。こういう場合はアイコン社のプレスリリースや海外の報道記事を見るとよい。それによると、アイコン社の近年の業績はアメリカの不景気も影響して芳しくないことがわかる。リストラもして何とか立ち直ってきている状況だ。経営陣としてはこのまま自力での成長には限界があると判断したはずである。マーケット全体が落ち込んでいるのであれば、水平統合によって規模を拡大して生き残りを図ることも難しい。このような環境化においては、キリンのように多角化を計ることも選択肢のひとつではある。今回のケースではリコーと一緒になることによって、経営を維持するという選択肢を選んだ。

M&Aを見る際には買手、売り手両方の思惑が一致することが不可欠であり、その思惑を考えながら記事を読むと、背後で何が起こっているのが見えてくる。

2008年8月28日 (木)

なぜ、キリンはM&Aに積極的になったのか。

(ニュースの概要)
 キリンホールディングスは二十五日、オーストラリア乳業二位のデアリーファーマーズを買収すると発表した。金額は引き継ぐ有利子負債分を含め八億八千四百万豪ドル(約八百四十億円)。近年の海外M&A(合併・買収)では二千九百四十億円をかけた同国乳業最大手ナショナルフーズに次ぐ規模となる。国内ビール事業は伸び悩みが鮮明となっており、M&Aによる海外事業拡大で成長を目指す。
2008/8/26, 日本経済新聞 朝刊, 11面

(解説)
キリンホールディングスが積極的に買収を進めている。しかも、ビール会社ではなくて、製薬会社や乳業会社を買っている。キリンのメインビジネスはいわずと知れたビール。発泡酒、第三のビールなど新ジャンルも増えているが、ビールのシェアにおいて、アサヒビールと激しい首位争いをしている。そのキリンが、なぜビールと全く違う分野の企業を買うのか、また国内の乳業メーカーではなく海外メーカーを買う狙いは何かといえば、国内ビール事業は伸び悩みを補うための成長事業を手に入れるためである。
もはや、キリンはアサヒとのシェア争いに全精力を注ぐ時代ではないと悟っている。マーケットの定義を”国内”、”ビール”から広げて、その新しく定義されたマーケットでどのような付加価値を出せるのかにシフトしている。これは、社長のインタビューにもあるように純粋持株会社に移行したことが大きい。

(疑問1)
純粋持株会社に移行することにより、なぜ、大胆な投資が可能になるのか?

(ニュースはこう読め)
加藤社長はインタビューで「(昨年に)純粋持ち株会社に移行しことでグループ経営の視点で(重点分野に)大胆な投資が可能になった。(昨年の協和発酵買収を含めたM&Aは)事業会社の形態では難しい『飛躍的な成長』を実現するためだ」と語っている。
加藤社長はキリンホールディングスの社長であって、キリンビールの社長ではない。この違いは大きい。キリンビールの社長である限り、乳業や製薬業はどうしても二の次になる。ビールのシェアを上げることが社長としての第一優先事項になりかねない。
ところが、キリンホールディングスの社長という立場で経営をすることになると、必ずしもビールが最優先ではなくなる。そして、例えば100億円をビール事業に投資するのと、新規事業(たとえば乳業)に投資するのとどちらが将来のリターンが増えるのかを冷静にかつ同列に見ることが求められる。
たとえば商品のライフサイクルと同様に事業にもライフサイクルがあると考えられる。ビール事業に関して言えば、国内も伸びが期待できず、海外はとっくにM&Aが進んでしまっていて、いまさらキリンが進出する余地は少ない。
そう考えれば、おのずと違う事業に投資をしてそれを育てる方が、ビール事業に固執するよりも成長の余地が大きいことがわかる。

(疑問2)
ナショナルフーズを買収したにも関わらず、なぜ同じ国の同じ事業の会社を買収するのか?

(ニュースはこう読め)
今回の買収はキリンホールディングスの子会社になったナショナルフーズがデアリーファーマーズの株式を買い取る方式だ。ナショナルフーズはデアリーファーマーズを買収し規模の拡大による生産効率性の向上が期待できる。
多少、独禁法に絡んで一部の事業を売却する必要性がありそうだが、それでも売却後に残った事業で十分採算性が取れるのであろう。
それよりも、もっと重要なことは、世界的な乳製品の品薄だ。今春のバター不足は皆さんご存知の通りである。これは国内の生乳生産量が減少し、バターの原料が減ったことに起因する。元をたどれば、飼料コストが上昇し、それを価格転嫁できない酪農家が次々と廃業していることが原因となっている。
しかしながら、アジアを中心に乳製品需要の上昇が見込まれている。生乳生産の価格競争力が高い国はオーストラリアだ。日経MJの記事によれば、生乳100kgを清算するのにかかるコストは、アメリカ5257円、日本7707円に対し、オーストラリアは2380円である。アメリカの半分以下、日本の3分の1以下のコストで生産できるということは、アジア向けの輸出を考えたときの競争力の差は大きい。
ビールの需要の頭打ち、乳製品の需要増加の見込みを見抜き、最も競争力のあるオーストラリアの乳製品企業を押さえたキリンの戦略は注目に値する。
キリンの次の一手としては、需要拡大が見込めるアジアでの販売網確保だろう。

話はそれるが、ちなみに、日本ではチルド輸送を前提とした牛乳を販売しているが、海外では加熱処理をして常温で1ヶ月保存できる製品が主流である。オーストラリアからはこのような形で牛乳をアジア向けに輸出するようだ。
日本でも牛乳の品薄が続くようであれば、このような常温保存可能牛乳の輸入が必要になるだろう。おそらく待ったなしの状況だ。生産コストが3分の1であれば、輸送費を考えても十分可能である。そして、安価な海外の牛乳と高価な国内産チルド牛乳の二分化を進める必要があるのではないか。酪農家も牛乳の価格が上がれば安心して生産に打ち込める。消費者もチルド牛乳にこだわる人は今後も安定供給を受けられる。価格にこだわる人は安価な牛乳が手に入る。
農林水産大臣に言わせると日本の消費者はやかましいらしいが、もしそうであれば、関税を引き下げ選択肢を複数用意して(安い牛乳と高い牛乳)、それを選ばせるというのが政治家の務めだろう。酪農家を保護するために関税をかけているのに離農が相次ぐ状況は皮肉である。

2008年8月12日 (火)

マネジメントバイアウト(MBO)って何? 経営者による買収?

(ニュースの概要)
 外食大手すかいらーくの主要株主である野村グループなどの投資会社二社が、創業一族の横川竟社長に退任を要求したことが二十九日明らかになった。国内最大規模のMBO(経営陣が参加する買収)で再上場を目指しているが、ガソリン高に伴う外食不振で業績が改善せず、両社が不満を強めた。
 すかいらーくは二〇〇六年、野村プリンシパル・ファイナンスと英投資ファンドCVCキャピタルパートナーズに横川氏ら経営陣が加わり、MBOで非上場化した。MBO額は二千七百億円と国内最大級。経営改革を迅速に進めるため上場を一時的にとりやめた。
 投資した野村プリンシパルの持ち株比率は昨年末時点で六一・五%。CVCは三五・六%。二社で九七%の議決権を持つ。二社は改革を通じ収益力を高め、〇九年中にも再上場を果たすシナリオを描いていた。
2008/07/30, 日本経済新聞 朝刊, 1面

その後の報道で結局、すかいらーくは十二日の臨時株主総会とその後の取締役会で、主要株主の投資会社二社から退任を求められていた横川竟(きわむ)社長(70)を解任し、生え抜きの谷真常務執行役員(56)を後任社長に選ぶことが明らかになった。株主と経営者の異例の対立は、資本の論理を盾にした投資会社側に軍配が上がり、創業一族が表舞台から去る。日本最大のMBO(経営陣が参加する買収)はどこでつまずいたのか。
2008/08/09, 日本経済新聞 朝刊, 11面

(解説)
MBOとは、あまり耳慣れない言葉ではないか?一般的には、マネジメント・バイアウト(MBO、Management Buyout、経営陣買収)とは、会社の経営陣が株主より自社の株式を譲り受けたり、あるいは会社の事業部門のトップが当該事業部門の事業譲渡を受けたりすることで、文字通りのオーナー経営者として独立する行為のこと、といわれている。(Wikipediaより)
この説明に間違いはないが、これだけ読むと誤解を生じやすい、あるいはわかりにくい。そもそも、なぜいったん上場しながらMBOで非上場化するのか、そこからして、ぴんと来ない人が多いだろう。普通は上場を目指すものである。さらにオーナー経営者として独立したのに解任されるというのも不可解だ。

MBOを実施した2006年当時から外食産業の市場が縮小する一方で、競争が激化しており、すかいらーくの業績も悪化していた。そこで、店舗の統廃合、新しい業態の創造など抜本的な事業再構築をする必要があるが、短期的に利益を圧迫するなど5万人を超える株主の要望に応えることができないおそれがあるためにMBOを実施するというのである。この説明でも、いまいちよくわからない。要するに言い換えると、今後リストラをして利益が減ってしまい、株価も下がり、経営者の責任問題になりかねないので、一度非上場化して出直します、と、そういうことである。この会社の利益は今後も下がりますよ、株価も下がりますよ、それでは皆さんも納得しないでしょうから一度非上場化しますよ、と直接言うわけにはいかないので、なんとなく、あいまいな表現をとっているのだろう。

非上場化するためには、一度株式市場で流通している株式を買い取る必要がある。みなさんが持っている上場株が突然非上場となれば、証券会社を通じて売ることができなくなり、大きな損害を受ける。倒産による上場廃止であれば、それは突然起こることであるが、すかいらーくのように倒産するわけでもない(2005年12月期で66億円の利益)会社が、明日から上場廃止では困る。暴動がおきかねない。そこで、経営者たちが株式市場の株を買い取るというのがMBOの仕組みである。実際には、2割程度のプレミアムをつけて買い取る。それだったら、普通の株主は喜んで売却する。私が株主であっても文句なく売却する。自分が投資している会社の経営者が2割のプレミアムでその株を売ってくださいというのである。反対する理由はないだろう。こうして、経営者は今後は経営者としてだけでなく株主の立場で会社を経営していくのである。

さて、ここで一度振り返って考えてみて欲しい。なぜ経営者はMBO(非上場化)の選択肢を選んだのか。それは、今後大きなリストラが予想されるからであるという説明だった。つまり利益が減るということは経営者自身が一番良く知っているはずである。利益が減る会社の株をあなたは買うだろうか。普通の投資家であれば、利益が増えると予想する会社の株を買うはずである。では、MBOを実施する経営者はどのような動機で会社の買収に踏み切るのか。ここまでの説明では、全く理解できない。少なくとも経済合理性は感じられない。経済合理性が見えない取引をわざわざ実施するという背景には必ず裏の理由がある。それを考えてみよう。

ここでMBOの買収者が誰かということを見てみたい。MBOの日本語訳は経営陣による買収となっているが、現実問題として経営陣(社長や取締役)だけで、すかいらーくのような上場会社(MBO前)の株式を買い占められるほど財力はない。とくにすかいらーくのMBOは日本最大といわれていて、買収規模は2700億円を超える。仮に創業者一族がいくら金持ちだとしても、まさかそれだけのCashを保有しているということは考えにくい。では、だれが資金を出しているのか。

そこから、今回のニュースの本質が見えてくる。

(疑問1)
すかいらーくの真の買収者は誰か?

(ニュースはこう読め)
解説の最初にMBOを直訳して経営者による会社買収と理解すると、その本質は理解できないと書いた。
MBOの本質は、経営者も含む投資家グループによる買収とでも言えばよいだろうか。もっと直接言えば、投資ファンドが経営者と組んで買収すること、である。そして真の買収者は資金を最も出している人、ということになる。
このMBOに関して言えば、野村プリンシパル・ファイナンスとCVCキャピタルパートナーズ(英)が約1600億円を出資して特別目的会社(SNCインベストメント)を設立し、みずほ銀行が1,200億円融資してすかいらーく株式を公開買付した。
経営者も一部資金を拠出しているはずであるが、これは、投資ファンドによる買収である。真の買収者は野村プリンシパル・ファイナンスとCVCキャピタルパートナーズの二つの投資ファンドである。しかし、経営者も参加しているので敵対的買収ではない、きわめて友好的な買収劇といえる。友好的ではあるが、今のすかいらーくのオーナー(すなわちそれが買収者となる)は、野村プリンシパル・ファイナンスとCVCキャピタルパートナーズの2社であるということを忘れてはいけない。
これがMBOの本質である。

(疑問2)
MBOの真の目的は何か?

(ニュースはこう読め)
投資ファンドの目的はひとつしかない。非常にシンプルである。投資によってリターンをあげること。その一点に目的は集約される。そこを読み違えてはいけない。もちろんリターンをあげるためにさまざまな努力をするが、投資ファンドによってその手法は違っても、目的はひとつである。MBOというのは友好的な買収であると書いた。ファンドによっては敵対的な買収によってリターンを目指すものもあるが、少なくともこの2社は友好的な買収者である。
友好的であるということは、現在の経営者と対立しないことを意味する。そうでなければ、MBOではなく、敵対的なTOBになってしまう。敵対的TOBと友好的MBOの違いは経営者が賛成しているかしていないか、経営者も(一部)出資するか否か、それだけである。ファンドとしては手法が違っても目的はひとつというのは、そういうことだ。
新聞記事を表面的に読んでいるだけでは、その点がなかなか理解しにくい。
さて、では投資ファンドはどうやってリターンをあげることができるのか。これも非常にシンプルである。株式を安く買って高く売る。MBOではプレミアムをつけなければ買収できないのである意味では安いとは言いがたい面もある。しかしながら、それを補うだけの高値で売れればリターンが得られるという仕組みである。
どうやって高値で売るかというと、これも2つしか方法はない。ひとつは誰かにまとめて転売すること、もうひとつは株式の再上場である。そのためにはリストラによって一時的に損失が出ても、長期的に利益が出る体質に変えていかなければならない。そのようにして利益を増やし、高い株価で転売をするのである。
すかいらーくの規模であれば、これをまとめて買うという買手も少ないと思われ、基本は再上場を年頭においていたと思われる。MBO時点でも経営陣は再上場について否定しなかった。
さて、利益至上主義の投資ファンドにとって、再上場時期が遅れる、あるいは再上場できないという事態に陥れば大損害である。仮に、リターンが得られたとしても小さくなる。新聞報道によると、MBO後の直近2年間は赤字である。これはある程度予想されたことだと思われるが(MBO時でそういっているのだから)、それにしても赤字額が拡大したことは想定外であったようだ。また、赤字も一時的なものではなく、今後の事業環境はさらに厳しいものと予想されている。このような背景の下、現在の社長で経営を続けることは難しいと投資ファンドは判断し、新社長就任となった。
MBOという名前に惑わされてはいけない。

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