仕入先を買収 効果的な垂直統合とは?
(ニュースの概要)
マツモトキヨシホールディングス(HD)は二十八日、一般用医薬品(大衆薬)の中堅卸会社である茂木薬品商会(東京・文京)を買収すると発表した。十月一日付で株式交換により完全子会社化する。直営を主力としてきたマツキヨHDは各地の小売業に商品を提供するフランチャイズチェーン(FC)展開に力を入れ始めており、買収で商品調達力を高める。
(2008/07/29, 日本経済新聞 朝刊, 12ページ)
(解説)
ドラッグストアの離合集散は激しく、マツモトキヨシHDも提携企業(サッポロドラッグストアーなど)を増やす一方で、提携関係の解消もある。業界全体を見渡してもセガミメディクスとセイジョーが経営統合し、2008年4月にココカラファインHDが誕生した。同業他社との水平統合が目立つ中、マツモトキヨシHDは赤字である卸会社との垂直統合をしたということは注目に値する。
プレスリリースを読むと、茂木薬品商会は、本株式交換後、第三者割当増資を行い当社の完全子会社ではなくなる予定です、とあり、100%子会社とした後にマツモトキヨシHD以外の第三者が増資をするという背景も気になる。
(疑問1)
マツモトキヨシHDが卸会社を買収した理由は?
(ニュースはこう読め)
仕入先または販売先との統合を垂直統合という。最近のニュースでは資源価格の高騰を受けて大手鉄鋼会社が、鉄鉱石会社の買収を検討しているなどがこれにあたる。原材料の仕入先から最終消費者までの取引の流れを見極め、どこに競争の源泉があるのかを見極めることは、M&Aにおいて重要な事項である。仕入先との統合を目指すのであれば、その仕入先を自社グループに取り込むことが同業他社との競争において、どのように有利に働くのかの検討が必要となる。
茂木薬品商会の主要取引先を見ると武田薬品、第一三共、ライオンなど、大手メーカーの名前が列挙されている。マツモトキヨシHDの取引先にはその名前はない。例えば大手メーカーがたとえ大手のマツモトキヨシであっても直接取引をすることなく、全て卸会社を通じて取引をするのであれば、卸会社を自社グループに取り込むことによって、実質的に大手メーカーとの直接取引が可能となり、それが取引条件を有利にすることに繋がるのであれば、垂直統合のシナジーが期待できる。
もしも、シナジーが期待あまりできないのであれば、赤字である茂木薬品商会の救済の意味合いが強い。もしも茂木薬品紹介から商品仕入ができなくなった場合に、マツモトキヨシHDの経営上にマイナスの影響を与える可能性があれば、救済する意義があるだろう。
(疑問2)茂木薬品商会がマツモトキヨシHDグループに参加するメリットは?株主はなぜ株式の売却を決断したのか?
(ニュースはこう読め)
赤字会社であれば、自社単独での再建ができない限り、なんらかの救済措置が必要になる。救済措置をどこからか受ける条件として、株式の売却に至った可能性は大きい。合理的な理由がない限り、筆頭株主である社長が株式の売却に応じることは考えにくい。
プレスリリースでは、株式会社大木と茂木薬品商会との間で資本業務提携契約が締結されており、マツモトキヨシHD向け以外の事業の維持が困難であり、縮小・整理すると明記されている。

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