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2008年7月30日 (水)

異業種への参入 なぜ全く違う分野の会社を買収するのか?

(ニュースの概要)
TBSは旧ソニー系の雑貨販売店「PLAZA(プラザ)」などを傘下に持つスタイリングライフ・ホールディングス(東京・渋谷)を買収する。日興プリンシパル・インベストメンツから発行済み株式の五一%を約二百十億円で取得する。景気低迷やネット広告との競合でCM収入が落ち込んでおり、放送外収入を伸ばし収益力を回復させる。
(2008/07/29, 日本経済新聞 朝刊, 1ページ)

(解説)
業界にはそれぞれ特有の性質があり、異なる業界の会社を経営することは容易ではない。最近では本業回帰、選択と集中による主要事業以外の売却も目立つ。例えば、今回買収の対象となったPLAZAはもともとソニーの子会社としてソニープラザの名前で長年親しまれてきた。ソニーの業績の不振もあり、本業と関連性の低い事業としてソニーは株式を売却した。
そのような昨今の傾向があるなかで、全く異業種の会社を買収するという本件のような事例は目を引く。

(疑問1)
TBSが小売業を買収した理由は?

(ニュースはこう読め)
本業の落ち込みにより、非主要部門を売却する代わりに、非主要部門を買収するというのが本件の特徴である。TBSの主要ビジネスであるCM収入が落ち込んでいる背景は、消費(景気)の低迷と、ネットとの競合という新たなコンペティターの登場による業界構造の変化である。景気には波がありいずれ回復する可能性もあるが、構造変化は元に戻ることはなく、放送業界におけるCM収入の長期的な伸びを期待することは難しいだろう。
構造的に成長が見込めない業界の経営者が取る選択肢としては、新規ビジネスの立ち上げ(新製品の開発)、新市場(海外など)の開拓などが常道であるが、規制業界である放送業においては、なかなか難しい。
異業種を買収する場合のポイントは、多少でも本業との関連性が期待できることである。現在のTBSの放送外収入は、DVD販売やイベント収入であり、これらは本業との関連性がつよく、経営陣としてもビジネスを理解しやすい。テレビ通販は本業のコンテンツの一種であり理解しやすいが、小売業であるPLAZAの買収によってテレビ通販とのシナジーをあげていくのかは、今後注目していくべき点であろう。

(疑問2)株式の売り手である日興プリンシパル・インベストメンツは、なぜTBSに株式を売却したのか?

(ニュースはこう読め)
今回の売却元は投資ファンドである。投資ファンドは、未公開株式を過半数以上買い、経営改革などを通じて収益性を上げ、株式価値が上昇したところで数年後をメドに売却する、というビジネスモデルで成り立っている。
株式の売却をExit(出口)と呼ぶが、Exitには大きく2種類あり、株式上場による売却か、相対取引で別のファンドまたは事業会社に売却する、のどちらかとなる。
記事によると、株式上場も検討していたようだ。しかしながら昨今の株式市場の低迷を見ると必ずしも株式上場がベストな方法とは限らない。それよりも、株式の51%(支配権)という部分に価値を見出す事業会社に売るほうが高く売れるケースもあり、本件は入札(複数の買手候補に、買取条件、価格提示をさせ、最も条件が良いところに売却する)によって、TBSが選ばれたようだ。他の買手候補がどこかは記事に出ていないが、継続的な株式保有が見込まれることを売却先の条件として重視していたということから、他のファンドへの売却よりも、事業会社への売却を優先したということが読み取れる。

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