親子上場って何?
(ニュースの概要)
親会社と子会社がともに株式を上場する「親子上場」の企業数が二〇〇八年三月末で四百一となり、四年ぶりに減少したことがわかった。グループの一体性を強めるために、完全子会社化で上場を廃止する事例が増えているためだ。親会社以外の少数株主の意見が経営に反映しにくいなど、海外投資家や東京証券取引所が親子上場に批判的な見方を強めていることが背景にある。(2008年5月21日 日経朝刊 19ページ)
(解説)
親子上場とは、上場会社がその子会社を上場させることで、記憶に新しいところでは、ソニーがソニーフィナンシャルホールディングスを2007年10月に上場させた。上場後もソニーは親会社として、過半数の株式を保有している。子会社を上場させる意図(あるいはメリット)としては、子会社の知名度向上や、自立の促進、親会社が株式売却益を得ることなどがあげられる。上場会社というのはステータスでもあり、会社経営者(社長)としては、子会社の社長よりは上場会社の社長のほうがステータスは高いと感じられるし、それは従業員にとっても同じ気持ちはあるだろう。上場企業はおおよそ4000社程度あるので、10社に1社は子会社上場といえる。海外では子会社を上場させるときには、その支配権も手放し、完全に切り離すことが一般的である。親子関係を維持したまま上場させることは少ない。
(疑問1)なぜ親子上場に対して、投資家(特に海外)からの批判が多いのか?
(ニュースはこう読め)
例えば、親子会社間で取引がある場合、親会社に有利な取引条件で合意する可能性は高い。子会社の取締役としては、その任命権が親会社にあるのだから当然とも言える。そういった場合、子会社は本来もう少し利益を稼げるはずが、より少ない利益しか稼げなくなってしまう。上場子会社に投資をしている少数株主(親会社以外の株主)にとっては、配当利益、またはキャピタルゲインの可能性が減ってしまう。子会社に多額の利益が計上されることが予想されれば、親会社としてはそれをできる限り多く親会社に配分されるような仕組を考えるのではないか。少なくとも、そういう余地があると、疑問をもたれてしまう。
100%子会社であれば、少数株主が存在しないので、このような利益の対立は発生しない。また、支配株主が存在しなければ、このような圧力はかからない。
(疑問2)なぜ完全子会社化が増えているのか?
(ニュースはこう読め)
投資家からの批判が増えているのもその一因である。しかし理由はそれだけではない。連結決算(子会社も合算した決算)が主流となった現在では、子会社に少数株主が存在することにより、子会社の利益の一部が子会社の少数株主に流出するデメリットが生じる。つまり、子会社が10億円稼いだとしても、親会社が60%しか支配していなければ、そのうちの4億円は親会社の外に流出する。(連結決算においては、配当するか否かは関係ない)。今後子会社が急成長することが見込まれていれば、流出金額はより大きくなる。その様な点を考えると、子会社の利益を100%取り込むために、100%子会社化し、非上場化することは、親会社にとっても経済合理性にかなった選択なのである。

